アマゾン熱帯雨林における違法伐採の歴史と現状
1990年代:
1990年代、ブラジルのアマゾン熱帯雨林では違法伐採が拡大し始めました。特にパラー州やロンドニア州では、農地や牧草地の拡大を目的とした違法伐採が進み、森林が急速に失われていきました。当時は木材輸出の管理が甘く、マホガニーやイペといった高級木材が国際市場に流通。欧州諸国やアメリカへの輸出が増え、違法伐採が一部の企業や業者に利益をもたらしていました。
2000年代:
2000年代初頭には、違法伐採の影響でアマゾン熱帯雨林の年間喪失面積がピークに達しました。2004年には約27000平方キロメートルの森林が失われ、環境団体や国際社会から強い非難を受けました。ブラジル政府は森林保護を強化するために、森林警察(IBAMA)の監視体制を拡充し、森林破壊の監視に人工衛星を導入するなどの対策を講じました。
2010年代:
2010年代に入ると、政府の取り締まりや国際的な協力の進展により、森林喪失面積は一時的に減少しました。しかし、農地や牧草地の拡大を目的とした違法伐採は根強く残り、特に2018年以降、ブラジル政府の環境政策が緩和されたことで森林破壊が再び増加しました。この時期には、違法伐採が地元住民や先住民の生活にも大きな影響を及ぼし、ヤノマミ族やカヤポ族との衝突が報告されました。
2020年代:
2020年代に入ると、アマゾン熱帯雨林における違法伐採は、気候変動対策の文脈で国際的な注目を集めるようになりました。2021年には約13000平方キロメートルの森林が失われ、温室効果ガスの排出源としての影響が深刻化しています。マグネシウムやリンを含む化学肥料の使用が進む一方で、土壌の劣化が加速しており、生態系へのダメージが拡大しています。
違法伐採された木材は依然としてマホガニーやイペが中心で、国際市場で高価格で取引されています。一部の多国籍企業が批判を受ける一方で、Amazon社やバイエルなどの企業が、森林保護活動に積極的に取り組み始めています。2024年には、AmazonやH&M、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)などがパラー州で1億8000万ドル相当のカーボンクレジット購入契約を締結し、LEAFコアリションを通じた支援を開始しました。
課題と展望:
現在、違法伐採に伴う炭素排出量は年間約400000000トンに達し、気候変動への影響が懸念されています。ブラジル政府は、人工衛星監視システム「デテーター」を活用した監視強化や、森林保護区の拡大を進めていますが、リオ・ティントやヴァーレといった大手鉱山企業の関連開発も批判されています。国際的な取り組みとともに、地元住民や先住民との協力が持続可能な森林管理の鍵となるでしょう。
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