堪え難きを堪え――昭和二十年八月、玉音放送の記憶
1945年8月15日正午、ラジオを通じて昭和天皇の声が全国に響いた。これが玉音放送である。内容は「大東亜戦争終結ノ詔書」の朗読で、日本がポツダム宣言を受け入れ、連合国に無条件降伏する旨を国民に伝えるものだった。原爆投下とソ連の参戦によって戦局は壊滅的となり、天皇は「堪え難きを堪え、忍び難きを忍び…」と国民に語りかけた。
この放送は前夜に録音され、玉音盤として保存されたが、直後には一部将校による宮城事件が勃発。録音の奪取を狙ったが、宮内省職員の機転で守られ、無事に放送が実現した。放送は文語調で難解だったが、多くの人がその声から敗戦を悟り、涙しながら耳を傾けた。
玉音放送は天皇の肉声が初めて公に放たれた瞬間であり、日本が軍国主義を手放し、新たな道を歩み始める歴史の転換点であった。堪え難きを堪えたその言葉は、昭和二十年八月の記憶として、今なお私たちの心に響き続けている。
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