"建骰資材再資源化法がいよいよ成立"。
5月24日、ついに「建設資材再資源化法案」(建設省・厚生省)が衆参両院を通過、成立した。建設解体廃棄物の不法投棄の防止と、資源としての再利用促進を狙いとしたもので、解体工事の発注者・受注者及び行政の役割を明記していることが特徴だ。
簡単に同法律の具体的な内容を見ると、まず解体を請け負う業者は、発注者や下請け業者に対し事前に資材の「分別解体計圃」を示し、また契約書には分別解体の方法や、請負代金額の内訳として「解体工事費」を明記することが求められる。一方、発注者は工事開始の7日前までに建築物の構造・工事の着手時期、分別解体計画などを都道府県知事に届け出る義務を負う。その後、知事が審査し、内容が不適当と判断された場合には発注者や受注者に対し助言や計画変更などを指導する。
また、これまで小規模な建設工事を行なう事業者(500万円未渦の建設工事のみを請け負う業者)は建設業の認可が不要だったため、技術力のない者が安易に解体工事を行なうケースも多く、これが廃棄物の不適正処理の大きな要因となっている。このため解体工事業者の都道府県知事への登録制度を新設するともに、解体工事現場に技術管理者を設置することなども盛り込まれている。
"分別解体が義務付けられる工事は特定資材(コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材)を用いる一定規模以上の工事とされており、対象となる規模は今後政省令で定めることにしているが、延べ床面積70~100平方メートル以上となる見込み。その場合、床面積ベースで9割程度の建築工事が含まれ、一戸建て住宅を建て替える個人も大半が対象となる。改修工事については本建設廣棄物と再資源化用途"
"建設廃棄物再資源化の現状"。
これまで掛け声は割と勇ましかった建設廃棄物の再資源化が半ば強制的に、いよいよ具体化するわけだが、現在どのような状況なのか見てみる。
95年度時点での建設廃棄物排出量は全国で9000万トン(建設省・建設副産物実態調査)。内訳はアスファルト・コンクリート塊3600万トン、コンクリート塊3600万トン、建設汚泥1000万トン、混合廃棄物1000万トン、発生木材600万トン、その他(廃プラスチック、紙くず、金属くず)100万トンとなっている。発生量は全産業廃棄物の約2割を占め、また最終処分量ともなると、焼却による減量が難しいものが多いためそのまま埋立られるケースも多く、約4割を占めている。
この量は、増えこそするものの、しばらくは減りそうにない。国内の着工建設物床面積は1974年の1度目をピークとして急激に減るが、77年から再度上昇に向かい、91年に74年時を大きく上回る2回目のピークを迎えている。建設省が首都圏の1都8県を対象に調べた建築解体廃棄物発生量の将来予測によれば、95年時点で約1000万トンだったものが、2000年に2000万トン、2005年に約3500万トン、2025年には約5500万トンまで右肩上がりに増え続ける見込み。
それに対し、再資源化の状況はかんばしくない。だからこそ法の網をかけることになったわけだが、リサイクル率は95年時点でアスファルト・コンクリート塊81%、コンクリート塊65%、建設汚泥14%、混合廃棄物11%、発生木材40%にとどまっている。
"特定資材の処理状況"。
最終処分場の逼迫もあわせ、建設廃棄物は今以上に分別・再資源化へ向けた要請が高まる。
また、今のところ建築物解体工事コストは廃棄物1トン当たり、排出量が3040トンの平均的な工事で約3万~4万円程度。建設省によると、従来のミンチ解体から分別解体に移行することで、例えば100平方メートルの建物の場合、解体・運搬・処分の各段階を合わせた費用は120万130万円と、60万~70万円安くなると見ている。だが、廃棄物の発生量に関わらず必要となる固定的な経費や、少量運搬に伴う効率性の低下による運搬費用の増大を考えると、実質には増加するとの見方もある。いずれにせよ、いかに廃棄物へ資源としての付加価値を付けるかが重要になってくる。
そういった意味でも、現在の建設廃棄物処理状況と法施行後の状況にあるギャップを埋める関連技術・事業に少なからずビジネスチャンスが到来する。
"建設資材再資源化法で再資源化など実施義務が課せられる特定資材(コンクリート、アスファルト・コンクリート、木材)の処理は現在こんな状況になっている。"
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