Friday, August 1, 2025

「水と環境を守る企業精神」-1995年4月

「水と環境を守る企業精神」-1995年4月
1990年代、バブル崩壊後の日本社会は、経済至上主義からの転換を模索し、環境保全や持続可能性への関心が急速に高まり始めていた。公害訴訟が一段落し、国民の生活水準が成熟するなかで、企業に対する社会的責任の概念も芽吹きつつあった。
そんな時代の空気を先取りするかのように、静岡県浜松市に本社を置く環境機器メーカー「三栄化学工業」は、企業の在り方に新たな光を投げかけていた。同社は高度経済成長期から水質浄化技術に取り組み、地方自治体や民間工場への廃水処理装置の供給を続けていたが、90年代に入り、より高性能な脱リン・脱窒機能を搭載した装置の開発に成功。生活排水による富栄養化や地下水汚染といった問題への有効な技術として注目を浴びた。
三栄化学工業の取り組みは、公共下水道への過度な依存から脱却し、自律的かつ分散型の水環境管理を実現する一助として、行政との共同研究の対象にもなった。また、社員に対する環境教育や地域住民との協働活動にも力を注ぎ、CSR(企業の社会的責任)という言葉がまだ一般的ではなかった時期において、実質的な実践例として評価された。
技術の追求と倫理的経営の融合。その姿勢は、のちに「グリーンカンパニー」として広く紹介され、環境と経済の調和を象徴する企業モデルとなったのである。

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