Saturday, August 2, 2025

北上する季節の境界線――2050年の都市の肖像

北上する季節の境界線――2050年の都市の肖像

北米の中緯度、地中海沿岸、アフリカのサヘル、南米アマゾン奥地では、乾燥化と極端高温の頻度が増し、生活や生業の継続が難しくなる地域が広がっていくと見込まれている。今後三十年で熱波の発生件数は増え、数十億人が影響を受ける可能性がある。都市が抱える排熱の影響は深刻化し、アーバンヒートは1980年代の約三倍に達すると予測される。亜熱帯帯は拡大し、気候帯は高緯度へ千キロメートル規模で北上し、動植物の生息域や農業適地も変化するだろう。

都市ごとの気候変化予測では、ロンドンは将来バルセロナのような温暖で乾燥した気候に、モスクワはブルガリアの首都ソフィアに、東京は中国湖南省長沙に近い高温多湿の気候になるとされる。こうした変化は、夏季の高温化や乾湿の季節性の変容を意味し、都市設計や生活様式の根本的な見直しを迫る。断熱や日射遮蔽、夜間換気、クールルーフなどの導入、緑陰や水辺空間の整備、給水・医療・停電対策といったレジリエンス強化が急務となる。猛暑日には労働生産性が低下し、夜間の最低気温の上昇は健康被害を拡大させる恐れがある。輸送や電力インフラの負荷も増し、居住適地の再評価や就業時間の再編など、社会制度全体での適応策が求められる。

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