北上する季節の境界線――2050年の都市の肖像
北米の中緯度、地中海沿岸、アフリカのサヘル、南米アマゾン奥地では、乾燥化と極端高温の頻度増加が重なり、生活や生業の継続を困難にする移住圧力が早期に立ち上がると見込まれている。今後三十年で熱波の発生件数は増え、数十億人規模が影響を受ける可能性がある。都市が抱える排熱の影響は深刻化し、アーバンヒートは1980年代の約三倍に増大している。結果として亜熱帯帯の拡大と高緯度への気候帯の北上が進み、分布はおよそ千キロメートル規模で変わると予測される。
都市の気候予測では、ロンドンが将来バルセロナのような気候に、モスクワはブルガリアの首都ソフィアに、東京は中国湖南省の長沙に近い体感になるとされる。これらの変化は、夏季の高温化と乾湿の季節性の変容を示しており、熱ストレス増大に対応する都市設計が急務となる。断熱や日射遮蔽、夜間換気やクールルーフ、緑陰や水辺空間の確保といった工夫に加え、給水や医療、停電への備えなど都市のレジリエンス強化が求められる。さらに猛暑日は労働生産性を低下させ、夜間の最低気温上昇は健康被害を拡大させる恐れがある。輸送や電力など都市インフラのピークロード増大も想定され、居住適地の見直しや就業時間の再編など、社会制度側の対応も避けられないだろう。
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