「社長の環境への見識と取り組み」
過日、地方に拠点を置く中堅ゼネコンの社長に会った。その社長の環境への見識、実践的な取り組みにはたいへん感銘を受けた。現在、有機農法を基盤とした農業の再生に力を注いでいる。地元の一部の農家と共に地域の環境保全のために、川の支流にビオトープを作ったり、休耕地の地力回復を図るため堆肥を施したり、有機野菜を都市の消費者に提供する提携運動も行なっている。
「日本の農業の課題と公共事業」
「日本の農業というのは生産性も悪いし、所得も低い。それを建設業界が公共事業を通して雇用という形で金を還元してきたわけです。現在、国から公共事業を削減され、一方では減反政策を押しつけられる。これでは農業はダメになる一方です。農業と建設業は運命共同体みたいなものです。ですから農業の衰退を黙って見ているわけにはいかないのです」。社長は農業の疲弊は自然環境も劣化させるという危惧を抱いている。
「地域情報と地場の建設会社の役割」
社長はさらに言う。「地域情報は、地場の建設会社がいちばん詳しいと思います。環境について言えば汚い物を処理するために穴を掘ったり、埋めたり、あるいは化学工場などのメンテナンスなど業務の性格上、何処にどんな危険物が置かれているか、過去の環境の劣化原因はすべて知っているわけです」。循環型社会、環境維持・保全を図るうえで重要なのは、地域発の取り組みである。その場合、地域の情報通である地場のゼネコンの役割は大きい。「地場のゼネコンだから実現できる環境対策はいくらでもあります」。裏を返せば地場のゼネコンこそ環境ビジネスの商機はいっぱい持っていることになる。それが個々に機能し、萎縮してしまっている。
「環境ビジネスの展望」
「環境に対して心あるゼネコンがローカルにネットワーク化し、国や県、市町村から予算をとる仕組みを作ってビジネス化すれば、日本の農業も、環境も、地域も守れるんじゃないかと」。地域単位の環境施策が次々と出されている。「最近では行政側にも真剣に環境を学んでいる人が増えています。一緒になってパートナーシップを組むかが課題です」。地場のゼネコンによる地方での環境ビジネスの火の手が上がるのもそう遠くはない。
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