Saturday, December 27, 2025

お雇い外国人 幕府御用金を預かる男 幕末から明治初年(1860年代)

お雇い外国人 幕府御用金を預かる男 幕末から明治初年(1860年代)

フロリヘラルトは、幕末日本が海外で巨額の資金を扱うために不可欠な存在であった。幕府は条約によって諸外国と外交関係を結んでいたが、在外公館や国際金融制度は未整備で、欧州で安全に資金を管理し運用する能力を持っていなかった。その空白を埋めたのが、パリに拠点を持ち、現地社会と金融事情に通じたフロリヘラルトである。

横須賀製鉄所建設や兵器購入は、幕府にとって近代化の中核事業であり、必要とされた御用金は当時としては桁外れの規模だった。これらの支払いは工期や納期に応じて段階的に行われるため、資金を一時的に現地で預かり、支払い時期を調整する役割が求められた。柴田日向守一行が持参した資金の多くが、実際にはすぐ使われず、フロリヘラルトの手元に預けられたのはそのためである。

彼は単なる会計係ではなく、為替や信用問題にも対応する財務代理人として機能していた。幕府にとって彼の個人的信用は、そのまま対外信用を支える基盤であり、外交と財政が不可分であることを示している。このように幕府御用金を預かるという役割は、近代国家へ移行する途上にあった日本が、個人の能力に頼って国際社会と渡り合っていた現実を静かに物語っている。

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