Wednesday, December 24, 2025

俳優・女優の率直なテレビ談議――距離と不信の感覚(1970年前後)

俳優・女優の率直なテレビ談議――距離と不信の感覚(1970年前後)
1970年前後、日本のテレビは大衆生活の中心となり、芸能人にとっては露出と評価を左右する決定的な舞台となっていた。しかしその巨大化は同時に、出演者自身に強い警戒心を抱かせる時代でもあった。アンケートに登場した加賀まりこ、前田美波里、磨赤児らの発言には、テレビを全面的には信頼しない冷静な姿勢がはっきりと表れている。加賀まりこの「テレビで白痴化した、で済むなら便利すぎる」という言葉には、白痴化論への皮肉と、責任をテレビに押しつける風潮への拒絶が読み取れる。前田美波里はテレビを仕事の延長として距離を置き、内面を語る場とはみなしていない。また磨赤児の「テレビは見るものじゃなく、出るものだと気づいた」という発言は、テレビを現実理解の装置ではなく、加工された虚構の舞台�
�して捉える鋭い感覚を示している。当時は深夜番組の拡張や視聴率至上主義が進み、私生活と商品性が混ざり合うメディア環境が形成されつつあった。こうした中で俳優・女優たちは、テレビに過剰な期待を寄せることを避け、皮肉や距離感を保つことで自身の思考と生活を守ろうとしていた。この率直な談議は、テレビ時代の只中で生まれた健全な不信と成熟したメディア感覚を象徴している。

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