ザ・テンプターズは1967年にデビューし、1968年にグループサウンズを代表する人気バンドへ成長した。エメラルドの伝説は1968年6月15日に発売された3枚目のシングルで、作詞はなかにし礼、作曲は村井邦彦、編曲は川口真。それまで中心メンバーの松崎由治が担っていた曲作りに、初めて本格的な外部作家を迎えた転機の作品だった。 村井邦彦はクラシック音楽を思わせる気品ある旋律と、力強いロックサウンドを融合させた。資料ではフォーレのパヴァーヌをモチーフの一つとし、クラシカルな和声感覚を取り込んだとされる。なかにし礼は、湖、緑の瞳、エメラルドといった色彩的な言葉によって、失われた恋人を追い求める幻想的な物語を描いた。 そこに重なるのが萩原健一の歌声である。甘さだけでなく、危うさや荒々しさを含んだ歌唱が、恋と死が交錯する物語に独特の緊張感を与えた。青春の恋を明るく歌う作品が多かったグループサウンズの中で、エメラルドの伝説は、耽美的で哀愁を帯びた文学的世界を作り上げ、ザ・テンプターズの音楽性を大きく広げた代表作となった。
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