Sunday, October 13, 2024

日本国内PCB廃棄物全廃計画の進行状況 - 2020年代

日本国内PCB廃棄物全廃計画の進行状況 - 2020年代

2020年代においても、日本国内には依然として約1万3千トンのPCB(ポリ塩化ビフェニル)廃棄物が未処理のまま残されています。PCBは、1960年代から1970年代にかけて、東京電力や関西電力などの電力会社で、主に変圧器やコンデンサーの絶縁材、冷却材として使用されてきましたが、カネミ油症事件を契機にその有害性が広く認識され、1972年には製造・使用が禁止されました。しかし、PCBは自然分解されにくく、100年以上も環境中に残留するため、現在も大量のPCB廃棄物が日本各地で保管されています。

2027年までにPCB廃棄物を全廃する計画が進められており、特に北九州市の日本環境安全事業株式会社(JESCO)が中心となり、高温焼却処理による無害化が進行中です。この高温焼却技術は、PCBを約1200℃以上で燃焼させ、無害化するものですが、焼却の際にはダイオキシンが発生するため、処理施設には高度な浄化設備が導入され、厳密な排出管理が行われています。

PCB廃棄物は、日本各地の青森県や大阪府などに設置されたJESCOの処理施設で処理されていますが、地域ごとの廃棄物処理量に差があり、処理スケジュールの遅延が一部で問題となっています。また、違法な廃棄や不適切な保管のリスクも懸念されています。例えば、過去には一部企業が保管義務を怠り、適切な管理がされていないケースも報告されており、今後は保管状況の監視をさらに強化する必要があります。

また、PCBの無害化処理をさらに効率化するため、従来の高温焼却に代わる新しい技術も検討されています。たとえば、低温分解技術や化学分解技術などが研究されており、これにより、より環境負荷を抑えた処理が期待されています。2027年までの全廃達成には、こうした技術革新と、全国規模での処理体制の強化が不可欠となっています。

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