盃の向こうに—富永清と沖縄ヤクザの光と影（1946-2019）

盃の向こうに—富永清と沖縄ヤクザの光と影（1946-2019）

1. 1970年 旭琉会結成前夜 – 那覇派とコザ派の会合

「このままじゃ、ヤマの連中に沖縄が丸ごとシャブられる。俺たちがまとまらなきゃ、いずれ縄張りごと持ってかれるぞ。」
「わかっちゃいるが、コザの兄弟と手ェ組むのは、なかなか胃がもたれる話だな。」
「お互い、昔から犬猿だってのは百も承知だ。でもよ、今は目の前の敵を睨まねぇと、こっちがバラバラになるぜ。」
「これが俺たちの島だ。外のヤツらにカチコミかけられる前に、こっちが手ェ打たねぇとな。」

2. 1990年 旭琉会分裂の直前 – 富永清と幹部たち

「親分、本気で出てくつもりですか？」
「おう、もうケツは決めた。組のためだなんて口じゃ言うが、こっちはシノギもできねぇ内輪モメばっかじゃねぇか。」
「でも、別れりゃ、即イチかますことになりますぜ。」
「もうとっくに詰んでるよ。向こうが変わらねぇ限り、俺らが動くしかねぇんだよ。」
「新しい看板、上げるってことですね？」
「ああ。沖縄のシマは沖縄のモンが守る。それだけだ。」

3. 2011年 旭琉會統一の交渉場

「いい加減、堅気さんも呆れてるぜ。20年も血ィ流して、結局何が残った？」
「とはいえ、看板統一したところで、本土のゴロツキどもが手ぇ引くとは思えませんぜ？」
「だからよ、こっちが一本になるしかねぇんだよ。沖縄の稼ぎは沖縄のモンで回さねぇと、丸呑みされちまうぞ。」
「……まぁ、いつまでもバラバラじゃ、向こうの思うツボってのも確かだ。」
「新しい旭琉會は、無駄な血は流さねぇ。それが、俺の最後のシノギだ。」

4. 2019年 富永清の最期の言葉（想像）

「……これで、オトシマエついたか。」
「親分、沖縄は変わりつつありますよ。」
「俺の生き方、無駄じゃなかったのかねぇ……？」
「そりゃあもちろんですよ。親分がいなきゃ、沖縄のヤクザなんざ、とっくに本土のフロントにされてましたぜ。」
「そうか……そりゃ、いい話だ……」