幻の額縁——1970年代、ストリップが芸術へと昇華するとき
1970年代、日本のストリップ劇場では「額縁ショー」という独特な演出が登場した。「東京ホリーズ」が手掛けたこの試みは、舞台上に額縁のようなフレームを設置し、観客の視線を制御することで、ストリップを芸術的に昇華しようとするものだった。裸の身体は、ただの見世物ではなく、一つの表現として舞台に配置され、そこに演劇的な物語が生まれた。背景には、唐十郎や寺山修司らが牽引したアングラ演劇の隆盛、ポルノ規制の強化、高度経済成長による娯楽産業の多様化があった。規制の網を潜り抜けながら、額縁という枠組みの中で官能と美を両立させようとする試みは、時代の息吹を映し出していた。
また、大島渚の『愛のコリーダ』や杉本エマの「脱がないストリップ」といった試みとも通じるものがあり、ストリップが単なる性の見世物から演劇的表現へと変化しようとする流れの中にあった。浅草ロック座などの劇場では、歌や芝居を融合させ、従来のストリップとは異なる新たなスタイルを模索する動きも見られた。そこには、芸術と大衆娯楽の狭間で揺れる文化の姿があったのかもしれない。
しかし、1980年代に入ると、規制の強化やノーパン喫茶の台頭、新たな風俗業態の登場により、額縁ショーは次第に姿を消していった。それでも、ストリップを芸術として見せようとしたその精神は、一部のナイトクラブやショーパブの演出に今も影響を残している。あの額縁の向こうに広がっていた世界は、時代の波にのまれて消えたものの、幻のように、今もなお記憶の片隅に漂っている。
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