声なき者の詩 ― 尾崎豊の光と影（1983〜1992）

声なき者の詩 ― 尾崎豊の光と影（1983〜1992）

尾崎豊は、1983年に17歳でデビューし、1992年に26歳で急逝するまでの9年間、時代の若者の魂を震わせたシンガーソングライターである。「15の夜」や「I LOVE YOU」「卒業」などの楽曲は、社会の枠組みに苦しむ若者たちの孤独や怒り、愛を真っ直ぐに表現し、同世代の心を深く掴んだ。彼のライブは単なる音楽ではなく、魂の告白であり、代々木公園でのゲリラライブや東京ドーム公演では観客と心を交差させた。晩年は精神的に追い詰められ、薬物の噂や行方不明騒動を経て、1992年、東京・文京区の軒先で倒れているところを発見され、帰らぬ人となった。死因は急性肺水腫とされたが、今なお謎に包まれている。葬儀には約4万人が集まり、彼を見送る姿はまさに最期のライブのようだった。尾崎の音楽は今も世代を超えて響き続け、
息子・尾崎裕哉がその志を受け継いでいる。彼は時代を越えて生きる「声なき者の代弁者」であり、現代にもなお風の中で歌い続けている。