尾瀬でごみ焼却中止 - 1998年3月
尾瀬地域の山小屋と売店を経営する「尾瀬山小屋組合」は、1998年の観光シーズンから、ダイオキシン類の発生を防止するため、山小屋での紙類や生ごみの焼却を全面的に中止することを決定しました。これにより、従来山小屋で行われていた小型焼却炉でのごみ処理が停止され、環境保全の観点から重要な取り組みとなります。
従来、山小屋で発生するごみは現地で焼却処理されていましたが、ダイオキシン問題が社会的に注目を集める中、その影響を懸念する声が高まっていました。これを受け、尾瀬山小屋組合は焼却処理をやめ、代わりにごみを持ち帰る方針を採用しました。具体的には、食料品などを運搬しているヘリコプターを活用し、ごみを山麓まで運搬する仕組みを整えています。
さらに、尾瀬ではごみの削減と持ち帰りを徹底するため、これまで撤去されていたごみ箱に加え、1998年からは登山者へのごみ袋の配布も中止することを決めました。これにより、観光客にもごみを持ち帰る意識を高めてもらう狙いがあります。
尾瀬は、貴重な湿原をはじめとする自然環境が広がる地域であり、観光客の増加に伴う環境負荷が課題となっていました。今回の取り組みは、その負荷を軽減し、自然環境の保全を強化するための一環として実施されています。
**関連情報**
- 環境省は、ダイオキシン類の削減対策として、ごみ焼却施設における適切な焼却の重要性を強調している。焼却施設からのダイオキシン類排出が全体の8~9割を占めるとされ、恒久対策の実施により環境中のダイオキシン類濃度の低下が期待される。
- 尾瀬国立公園では、環境保全のため登山者に対して「ごみ持ち帰り運動」が推奨されており、環境省や地方自治体と連携して継続的な取り組みが行われている。
No comments:
Post a Comment