Monday, March 24, 2025

沈黙を破る光点 ― 2000年代イラク戦争とフォースクウェアがもたらした影

沈黙を破る光点 ― 2000年代イラク戦争とフォースクウェアがもたらした影

イラク戦争中、アメリカ軍のアパッチ攻撃ヘリが敵からの追撃を受けた事件の背後に、位置情報アプリ「フォースクウェア」の使用があったとされている。若い兵士たちは前線基地でもフォースクウェアを使い、自らの居場所を何気なく世界に向けて発信していた。その投稿にはGPS情報が含まれており、敵勢力はこれを手がかりにヘリの発進拠点や行動パターンを把握し、待ち伏せ攻撃に結びつけた可能性がある。

2010年の『ニューヨーク・タイムズ』は、こうした無意識の投稿が軍事機密を露呈する危険性を指摘し、米軍内部でもSNSの使用制限が急速に強化された。仲間との軽い共有のつもりが、戦場では命取りとなりうる。情報の小さな光点が、空に舞う鋼鉄の猛禽の行き先を照らしてしまった。この事件は、デジタル時代の戦争において、投稿ひとつが戦局を左右する現実を静かに物語っている。

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