森を見ぬ村の行く末 ― 愛知県豊根村にみる森林放置と再生の試み(2001年〜2006年)
愛知県豊根村は、その93%が森林で構成され、うち約8割がスギやヒノキなどの人工林です。かつて林業が盛んだったこの村も、輸入材の増加や国産材の価格低迷により林業が衰退し、間伐されない森林の放置が進行しました。これにより、下草が育たず土壌の保水力が低下し、土砂流出や地滑り、生態系の崩壊といったリスクが高まっています。
こうした課題に対応するため、村は2001年に「とよね木サイクル構想」を策定。間伐材を地域で循環利用する取り組みを始め、ペレット製造施設「とよね木サイクルセンター」を整備し、公共施設の暖房などに活用しました。さらに2009年には「豊根村森づくり条例」を制定し、森林の多面的機能を持続的に維持する体制も整えています。
しかし、木質ペレットの需要安定や林業従事者の高齢化などの課題もあり、持続可能な森林経営の実現には多方面からの支援が必要とされています。豊根村の取り組みは、地域資源の循環活用と山村再生のモデルとして注目されています。
No comments:
Post a Comment