英国の原子力政策と新機関の設立 - 2002年8月
英国政府は、老朽化した原子力発電所の解体や使用済み核燃料の処理費用を国が負担するため、「原子力債務管理機関(Nuclear Liabilities Management Authority)」を2003年秋にも設立する方針を示した。これにより、既存の原子力施設の安全管理を強化し、将来的な環境リスクの低減を図る狙いがある。一方、米国ではドミニオン社などの大手電力会社3社に対し、政府が新規原発建設準備のための補助金を交付することを決定した。これは、CO2排出削減と電力需要の増加に対応するため、原子力発電を再評価する動きの一環とされている。しかし、スウェーデンやベルギーなどでは脱原発の方針を掲げているものの、原子力に代わる電源の確保は依然として課題となっている。こうした国ごとのエネルギー政策の違いは、今後の欧州エネルギー
市場にも大きな影響を与える可能性がある。
英国政府はその後、2005年4月1日に原子力廃止措置機関(NDA: Nuclear Decommissioning Authority)を設立した。この機関の設立は、2004年に成立したエネルギー法に基づいており、NDAは英国核燃料公社(BNFL)や英国原子力公社(UKAEA)が管理していた原子力施設の廃止措置や放射性廃棄物の管理を引き継いだ。NDAの設立は、原子力発電所の安全な廃止と環境影響の低減を目的としており、これにより英国の原子力政策は新たな段階に進んだ。
一方、米国では、2002年にブッシュ・ジュニア政権が「原子力発電2010年計画」を公表し、原子力発電の復活を目指す政策が打ち出された。この計画の下、電力会社に対する補助金や税制上の優遇措置が講じられ、新規原発建設の準備が進められた。こうした政策の違いは、国ごとのエネルギー需要や環境政策の方針に基づくものであり、各国が異なる形で原子力の活用を模索している状況が浮かび上がる。
**関連情報**
- NDA(原子力廃止措置機関)設立の詳細
- 日本原子力研究開発機構の原子力廃止措置に関するデータ
- ブッシュ政権の原子力発電2010年計画に関する報告
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