北太平洋の植物プランクトン減少 - 2002年8月
NASA(米航空宇宙局)とNOAA(米海洋大気局)は、過去20年間の衛星観測データを分析し、北太平洋の植物プランクトン量が約30%減少したと報告しました。さらに、北大西洋でも14%の減少が確認されています。一方、インド洋北部や赤道付近では増加傾向が見られ、これらの変化は海洋の温暖化や栄養塩の供給変化が関与している可能性が高いとされています。
植物プランクトンは海洋生態系の基盤を形成しており、魚類や海洋哺乳類の餌として重要な役割を担っています。そのため、プランクトン量の減少は、漁業資源の減少や生態系のバランスの崩壊につながる恐れがあります。また、植物プランクトンは光合成を通じて大気中のCO₂を吸収するため、その減少は地球温暖化の進行を加速させる要因にもなり得ます。
研究者たちは、海水温の上昇によって海洋の層構造が変化し、深層からの栄養塩供給が減少したことがプランクトンの減少につながった可能性を指摘しています。また、気候変動に伴う海流の変化も影響している可能性があります。今後、さらなる観測と分析を通じて、詳細なメカニズムの解明が求められています。
**関連情報**
- 西部北太平洋亜寒帯域における栄養塩の長期変動と低次生態系に関する研究
- 北太平洋で「豊かな海」を育む仕組み解明に関する報告
- 西部北太平洋亜熱帯海域の基礎生産への気候変動の影響に関する研究
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