コンポスト化の市民協働プロジェクト ―1996年10月 岩手県盛岡市―
1990年代の日本は、ごみ処理問題が深刻化し、従来型の大量焼却や埋立て依存から脱却する「循環型社会」の構築が叫ばれていた。特に1991年の廃棄物処理法改正や1995年の容器包装リサイクル法の制定を受け、地方自治体でも住民参加による廃棄物削減への取り組みが広がりつつあった。そうした時代背景の中で、岩手県盛岡市は家庭から出る生ゴミのコンポスト化を進めるべく、市民協働型のプロジェクトを開始した。市は家庭用コンポスト容器を無償配布し、使い方を指導するとともに、地域のNPOや学校、婦人会などと連携し、市民が主体的に生ゴミを減らし資源化する環境を整備。この取り組みにより、地域内で堆肥を家庭菜園や農地に循環させる流れが生まれ、地域コミュニティの活性化にもつながった。当時、焼却炉の建設反
対運動や有害物質問題が全国で起きており、「ごみを減らす」ことへの市民の関心が高まっていた。盛岡市のプロジェクトは、単なる環境対策にとどまらず、住民が自ら環境保全の担い手となる地域づくりの一歩として評価され、後のゼロ・ウェイスト政策や地域資源循環のモデルともなった。
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