Sunday, July 27, 2025

緑の循環を都市に ― 京都・花豊造園の剪定枝リサイクル事業(2002年10月)

緑の循環を都市に ― 京都・花豊造園の剪定枝リサイクル事業(2002年10月)

2000年代初頭、日本社会は循環型社会への移行を掲げ、環境政策の強化が急速に進められていた。1990年代後半から続いたダイオキシン規制や廃棄物処理法の改正などを背景に、これまで「ごみ」として焼却されてきた剪定枝や伐採材などの有機性廃棄物の再資源化が注目を集め始めていた。

そんな中、京都市の造園業者・花豊造園は2002年10月、敷地内に年間約300トンの剪定枝を処理できる小規模な施設を新たに設置した。この施設は、公共施設や個人宅の庭木の剪定から出る木質系廃棄物を受け入れ、チップ化・堆肥化することで再資源化する仕組みを持っていた。従来であれば、剪定枝は焼却場へと運ばれて処分されていたが、同社はそれを資源として活かす方向へ大きく舵を切った。

再資源化されたチップのうち、約210トンは近隣の果樹農家へと提供され、農業用堆肥やマルチング材として使用された。残りの約90トンも同社の造園業務に再利用され、草地の土壌改良や緑地整備の資材として活用されている。こうした取り組みは、単なる廃棄物の削減にとどまらず、地域の農業と造園業との新たな連携モデルを築き、地域経済の循環にも寄与した。

当時の剪定枝処理における大きな課題は、焼却によるコストと環境負荷の増大だった。ダイオキシン対策の強化により、剪定枝の野焼きが原則禁止されたことから、多くの自治体や事業者は処理方法の見直しを迫られていた。そのなかで花豊造園のような中小企業が、地域密着型の資源循環システムを築くことは、環境施策の現場レベルでの実装例としても注目された。

また、同社は2003年にISO14001を取得し、環境マネジメントの国際基準を取り入れた事業運営を開始。この一連の取り組みは、都市と農村、事業者と地域住民をつなぐ"緑の循環"の可能性を示す先駆的事例となった。都市における剪定枝の処理問題を、地域資源の活用へと転換した同社の実践は、その後の全国的な小規模リサイクル施設のモデルにもなっていく。

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