「南国製紙――自然を織り込む紙づくりの革新」-1995年4月
1990年代前半、日本では高度経済成長に伴う環境負荷が顕在化し、「持続可能な開発」や「ゼロエミッション」といったキーワードが企業経営にも影響を与え始めた。特に製造業では、環境負荷の低減が求められ、紙パルプ業界では塩素系漂白によるダイオキシン問題が社会的関心を集めていた。こうした背景のもと、高知県の中堅製紙会社「南国製紙」は、いち早く環境対応型の製品開発に舵を切った。具体的には、無漂白の再生紙や環境ラベル付き商品の製造に注力し、欧州のグリーン消費市場への対応も視野に入れた。また、工場からの廃液を循環処理するシステムの導入により、排出ゼロを実現し、業界内での評価も高まった。単なる環境対策にとどまらず、それを企業ブランドの柱とする姿勢が注目され、同社は"グリーン�
�ンパニー"の先駆として脚光を浴びた。南国製紙の取り組みは、地方の中小企業においても環境と経営の両立が可能であることを示す好例とされ、全国的に環境経営への意識を高める契機となった。
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