海を汚さぬ焼酎づくり――大分県宇佐市・2000年
2000年前後、日本では廃棄物処理や環境保全をめぐる法制度が相次いで強化されていました。特に1990年代末には、廃棄物の海洋投棄が国際的にも大きな問題となり、ロンドン条約の改正や国内法の整備により、有機性廃棄物の海洋処分は原則禁止へと向かっていました。焼酎メーカーにとって、製造過程で大量に発生する廃液(いわゆる焼酎廃液)の処理は喫緊の課題でした。この廃液は高濃度の有機物を含み、そのまま投棄すれば海洋汚染の原因となります。
大分県宇佐市の三和酒類は、焼酎「いいちこ」で知られる国内有数のメーカーであり、この環境規制強化の流れを受けて、2000年8月から予定していた廃液の全量陸上処理計画を前倒しで実施しました。従来は一部を海洋投棄していたものを完全に陸上で処理し、発酵大麦エキスとして食品利用するほか、家畜飼料や肥料への転用、さらにはメタン発酵によるエネルギー利用など、多様な再資源化ルートを構築しました。
この取り組みは、単なる規制遵守にとどまらず、地域経済や循環型社会形成にも寄与しました。食品・飼料メーカーとの連携は地元農業の支援にもつながり、処理過程で得られるバイオガスは自社エネルギーとして活用されることで、化石燃料依存の低減にも貢献しました。当時の日本では、食品廃棄物や製造副産物を再利用する「ゼロエミッション」が企業競争力の一要素となりつつあり、三和酒類の事例は地方発の先進モデルとして注目を集めました。
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