Thursday, August 28, 2025

DBO焼却施設の新方式導入 ― 2007年のごみ処理とエネルギー回収、そして関連技術の全貌

DBO焼却施設の新方式導入 ― 2007年のごみ処理とエネルギー回収、そして関連技術の全貌

2007年当時、日本の廃棄物処理を巡る大きな課題は、埋立地の逼迫と焼却に伴う環境負荷でした。1990年代に社会問題化したダイオキシン汚染を背景に、国は「ダイオキシン類対策特別措置法」(1999年施行)を設け、自治体は高性能焼却炉の導入を急ぎました。その流れの中で注目されたのが、DBO方式(Design-Build-Operate:設計・建設・運営の一括委託)による焼却施設の整備です。これは自治体が単独で施設を整えるのではなく、民間企業が設計・施工から運営まで担う方式で、コスト削減と効率化を同時に狙うものでした。

記事で紹介された新方式は、単なる焼却処理ではなく、高効率のエネルギー回収を伴う廃棄物発電システムを備えていました。従来の焼却施設では「ごみを減容化すること」が中心でしたが、2000年代に入ると「循環型社会形成推進基本法」や「廃棄物処理法改正」を受け、エネルギーの有効利用が重視されるようになったのです。発電効率を上げるため、ストーカ炉やガス化溶融炉などの最新技術が導入され、余熱利用による地域熱供給も検討されました。

また、自治体が抱える財政難の中で、PPP(官民連携)がキーワードとなっていました。施設建設に巨額の初期投資が必要な一方で、環境規制強化への対応は避けられない状況でした。そこで、民間事業者が投資や運営を担い、自治体は安定的なごみ処理と環境基準の遵守を確保するという役割分担が模索されたのです。背景には、2005年に発効した京都議定書があり、日本は温室効果ガス削減目標(1990年比6%減)を国際的に約束していました。廃棄物発電によるエネルギー回収は、この削減目標の達成に向けた有効策とされ、同時に化石燃料価格高騰に対応する「準国産エネルギー」としても注目されたのです。

このDBO方式を技術的に支えたのが、燃焼・発電・排ガス処理・灰資源化の高度化です。炉はストーカ炉や流動床炉が主流で、空気二段燃焼や酸素トリム制御により低NOx・安定燃焼を実現。ボイラは高温高圧化(400–450℃、4–6MPa級)と耐食材の採用で発電効率を引き上げました。タービンは抽気復水型で、発電と地域熱供給を両立。余熱は給水・空気予熱、煙道ガスコンデンサによる潜熱回収に活用され、場合によっては吸収式冷凍機を併設し、冷熱供給(トリジェネ)も可能になりました。

排ガス処理は多段構成が基本です。酸性ガスを消石灰で中和し、活性炭でダイオキシンや水銀を吸着、最終段のバグフィルタで捕集。NOxは炉内の低NOx燃焼に加え、尿素やアンモニアによるSNCR、必要に応じSCR触媒を設置。連続排ガス監視(CEMS)によってO₂、CO、NOx、SOx、HCl、ばいじんを常時チェックする仕組みが導入されました。

灰処理・資源化も重要な要素です。ボトムアッシュは鉄・非鉄回収後に路盤材利用、フライアッシュはセメント固化や溶融スラグ化で再資源化。2000年代にはガス化溶融炉の導入例も多く、灰を完全溶融しスラグ化することで、ダイオキシン分解と資源化を同時に実現しました。

さらに、施設の運転管理にも新技術が取り入れられました。ごみピットの負圧保持やクレーンによる混合作業でごみ質を平準化、AI制御やモデル予測制御による燃焼最適化で発電効率と排ガス性能を安定化。保全面では状態基準保全(CBM)や振動監視を導入し、ダウンタイムを最小限に抑える工夫が行われました。

契約面では、性能連動のKPI(発電効率、稼働率、排ガス基準遵守、灰の資源化率など)を明確に定め、民間がリスクを一部負担する形がとられました。PPPの枠組みの中で、設備性能と運転実績に基づき報酬が決まる仕組みは、ライフサイクル全体を通じたコスト最適化を促しました。

総じて、2007年に進められたDBO方式の新焼却施設は、環境規制、エネルギー安全保障、自治体財政難という時代背景の中で、最新技術と契約スキームを融合させた象徴的な取り組みでした。環境負荷の低減とエネルギー利用の最大化、そして民間との協働による持続的運営――この三位一体が当時の「循環型社会」への移行を具体的に形にしていたのです。

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