Wednesday, October 1, 2025

クサギカメムシ漂泊譚―米国1998年からの拡散史

クサギカメムシ漂泊譚―米国1998年からの拡散史

1998年、ペンシルベニア州で発見されたクサギカメムシは、アジアから輸入貨物に紛れ込んで渡来した。世界的に貿易が急拡大していた時代背景が、その拡散を後押しした。輸送コンテナや梱包材は経済の流れを運ぶと同時に、生物の移動経路ともなった。クサギカメムシは果実に針を突き刺して汁を吸い、表面に傷や斑点を残すため、リンゴやモモなどの果樹に深刻な被害を与えた。2010年には米国中部で年間3700万ドルの損害が記録され、農家の生活を直撃した。雑食性と繁殖力に加え、秋には建物に侵入して越冬する習性があり、都市部の人びとにも被害が広がった。農薬防除には限界があり、現在は寄生蜂サムライワスプによる生物的防除や防護ネットなどの対策が試みられている。グローバル化の繁栄の裏に潜む副作用として、
この昆虫の拡散は経済と自然の矛盾を映し出し、国境を越えたリスクの象徴となった。

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