Tuesday, October 28, 2025

マグロの海と原発の影―大間沖の岐路に立つ漁村 2004年6月

マグロの海と原発の影―大間沖の岐路に立つ漁村 2004年6月

青森県大間町は、津軽海峡に面するクロマグロの好漁場として全国に知られてきた。一方、この海域に電源開発株式会社が進めるのが、大間原子力発電所の建設計画である。2004年当時、その原子炉は世界初のフルMOX型で、全国的にも注目を集めていた。

同じ青森県では、六ヶ所村で核燃料再処理施設の試運転が始まり、県全体が「原子力立県」としての道を進み始めていた。自治体は交付金によるインフラ整備を推し進めるが、地元漁師たちは冷却水の海洋排出による水温変化や生態系への影響に強い懸念を抱き、「マグロがいなくなる」「海が死ぬ」と危機感をあらわにした。

一方で、町では人口減少と高齢化により経済の行き詰まりが深刻化し、原発による雇用創出や財源確保への期待も現実的な選択肢として支持され始めていた。こうして、原発への賛否は経済と環境、将来と現在の生活が複雑に絡み合い、住民の間に深い分断を生んだ。

この問題は単なるエネルギー政策の是非を超え、漁村の未来とふるさとのかたちを根本から問い直す社会的テーマとして、今なお大間町の課題として残り続けている。

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