モルレーと学制改革の現実主義――明治初期教育行政における漸進改革の思想(19世紀後半・1873-1879)
デイヴィッド・マレーは、明治初期に文部省顧問として来日し、欧米制度の急進的模倣が進められる中で、日本の社会的・経済的条件に即した漸進的な教育改革を主張した人物である。1872年に公布された学制は、全国を画一的に区分し学校設置を進める理想主義的構想であったが、地方財政への負担や教員不足、住民の反発など多くの問題を抱えていた。1873年に来日したマレーは、理念先行で現場との乖離が大きい点に強い懸念を示し、全国各地の学校を実地に視察した。その成果が1875年のモルレー申報であり、校舎や教員の実態、就学状況を具体的に分析し、制度の即時全面実施ではなく、教員養成を優先した段階的普及を提言した点に特徴がある。彼の現実主義的姿勢は、学制の修正や教育行政に実証的手法を根付かせ、日本が
欧米模倣から自国条件に応じた制度形成へ移行する過程を支える重要な役割を果たした。
No comments:
Post a Comment