Monday, December 1, 2025

国費2兆円の賭け ラピダスという夢の行方 2020年代

国費2兆円の賭け ラピダスという夢の行方 2020年代

国費約2兆円が投じられる次世代半導体企業ラピダスは、日本半導体復活の切り札として経産省が主導する巨大プロジェクトである。かつての栄光を「夢よもう一度」とばかりに取り戻そうとする一方で、その足元は決して安定していない。ラピダスの体制、人材、工程は急ぎ足で整えられているが、政府と企業が一体で突き進む姿に、冷静な検証が欠けていないかという疑念が広がりつつある。

ラピダスは2022年に設立され、北海道千歳市に線幅2ナノ以下の最先端半導体工場を建設中だ。パイロットラインは2025年稼働、量産は2027年開始とされ、総投資は5兆円規模にのぼる見込みである。政府は2022年度700億円、2023年度2600億円、2024年度5900億円と補助金を積み上げ、すでに1兆7000億円超の公的支援をコミットしている。

しかし必要資金はさらに多い。研究開発には2兆円、量産立ち上げには3兆円が要るとの試算もあり、国内外の民間投資や銀行融資なしには完成しない構造が浮き彫りになっている。しかも世界では台湾勢が2ナノ量産へ進み、韓国や欧米勢も1.4ナノや1ナノ世代をにらんで熾烈な競争を続ける中、日本の新興企業が5年弱で追いつくのは容易ではない。

技術の核となる2ナノプロセスは米国との協力に大きく依存し、装置、材料、人材は国際的な争奪戦のただ中にある。仮に千歳工場の量産が予定通り始まっても、歩留まりの安定や顧客確保、採算ライン到達にはさらに膨大な時間と投資が必要だ。また政府が安全保障を旗印に支援を続けることで、「採算より安全保障」が優先され、企業としての自立性が損なわれるという懸念も指摘されている。

一方、2ナノ級半導体が自動運転、通信、脱炭素電力制御など多分野の基盤技術となるのは確かであり、日本が海外依存を続けるリスクも大きい。ラピダスは試作ウエハーの公開やパイロットライン準備など一定の前進を示している。だからこそ、巨額の国費投入を夢物語で終わらせないために、計画の透明性、費用対効果、失敗時の検証体制まで含めて、社会全体で監視し続ける必要があるという警鐘が、この論考の中心に据えられている。

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