石川県 地方環境行政と地場企業 知を束ねる自治の試み 2000年代前半
石川県で検討が進められた環境総合条例(仮称)は、日本の環境政策が中央集権的な制度運用から、地域主体の設計へと揺り戻しを見せ始めた時代を象徴する動きであった。
1990年代後半から2000年代初頭にかけて、日本の環境行政は、ダイオキシン対策、廃棄物処理法改正、容器包装リサイクル法の本格運用など、国主導の制度整備が相次いだ。一方で、全国一律の基準や数値目標は、地域の産業構造や技術蓄積と必ずしも噛み合わず、地方自治体の現場では制度疲労が意識され始めていた。
こうした中で石川県が打ち出したのが、「知のマネジメント」を基本理念に据えた環境行政の再構築である。規制や補助金に依存するのではなく、地域に蓄積された技術、人材、経験を環境政策の中核資源として位置付け、地場企業の環境技術開発を行政が後押しする姿勢が明確に示された。
環境総合条例の検討過程では、産業振興、研究開発、人材育成、環境保全を横断的に束ねる枠組みが模索された。行政は単なる規制主体ではなく、知識と技術を結び付ける編集者としての役割を担う点に特徴があった。
この取り組みは、中央依存型ではない地域主導の環境政策として他地域への波及も意識されており、後の地域循環共生圏やローカルSDGsの発想に先行する試みとして位置付けられる。
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