活性炭とは、植物性炭素素質や木炭などを素材とする多孔質の炭素のこと。微細な孔が多数開いていることから、1グラム当たりの表面積は1000平方メートルにも及び、このため物質の吸着能力が非常に高いという特性を持つ。この性質を利用して家庭の冷蔵庫の臭い取りから浄水場での水質汚濁除去にまで、幅広く使われてきた。この活性炭が、ダイオキシンについても高い吸着能力を持っていることが評価され、急激に需要を伸ばしている。注目されるダイオキシンとの関連の他、水質浄化、住宅素材など、新たに生まれつつあるニーズを中心にレポートする。
●ダイオキシン用活性炭の市場は年間約50億円。活性炭が需要を伸ばす最初のきっかけは、93年に大幅改正された水道水質基準法だった。これを受けて、各地の自治体は悪臭除去や水質改善対策として、活性炭の投入増加などの処理方法の高度化を行ってきた。こうして浄水場向けに着実に需要を伸ばしていたところに、ごみの焼却処理に伴うダイオキシン汚染が社会問題化し、ダイオキシン対策としても注目を集めることとなった。96年12月に環境庁がダイオキシンに関する新ガイドラインを策定。さらに97年8月にはダイオキシン対策として大気汚染防止法を一部改正することが決まった。97年12月から施行される改正大気汚染防止法で制定された基準値は、新設の焼却炉で0.1ナノグラム、既設の炉で0.5~1ナノグラムという、欧米並みの�
��値になっている。これに伴い、測定・分析、新設焼却炉、ダイオキシン分解技術など、ダイオキシン周辺ビジネスが一気に活発化。活性炭も、既存の焼却炉に適用できる除去システムとして、大いに注目を集め始めた。
ダイオキシン除去に用いられるのは、粉末状の活性炭。焼却炉内の煙道などに粉末活性炭をエアで吹き込みダイオキシンを吸着し、バグフィルターで飛灰などと共に活性炭を回収する仕組みになっている。ダイオキシンを吸着した活性炭は再溶出を防ぐために、固定化・無害化される。活性炭使用のポイントは、焼却炉を新設したり、高価な付属装置を付ける必要がない点。既存の焼却炉に活用でき、手軽で即効性がある。活性炭によってダイオキシンは無処理の場合の10~20%程度に減るとされている。日量100トンのごみ焼却施設の場合、注入量は1日50キログラム。焼却炉は全国に約2000カ所あることから、市場規模は50億円くらいと推定される。
活性炭販売メーカーの中でも動きが早かったのが、栗田工業。同社は97年1月に世界最大の活性炭製造能力を持つNORIT(オランダ)の日本法人である日本ノリット株式会社とダイオキシン除去用活性炭の国内独占販売契約を結んだ。栗田工業では92年からダイオキシン分析事業を開始し、翌93年からは活性炭を利用したダイオキシン除去技術に取り組んできた。その中でNORITの製品について日本国内30カ所以上のごみ焼却施設で試験を進め、効果を確認した。販売目標は初年度5億円、3年後には15億円を目指す。
粒状活性炭製造で20年以上の実績を持つのが三菱化学。同社では浄水場向けの活性炭でコンシステントに需要を伸ばしてきたが、97年4月からダイオキシン吸着用の活性炭販売に乗り出した。同社では既設炉向けに吹き込み用の粉末活性炭を用意する一方、新設炉については厚生省のガイドラインも厳しく自由な設計が可能なことから、移動床式焼却炉で使用されるペレットタイプの需要も期待している。同社では2000年までに年間3000トン、6億円相当の販売を見込んでいる。
焼却炉製造メーカーで活性炭導入に熱心なのが荏原。同社は粒状・粉末活性炭「エバダイヤ」を独自開発し、これを用いたダイオキシン低減化技術を確立した。また、ダイオキシン吸着後の廃活性炭処理についても、分解装置を使って95%以上のダイオキシン分解効率で無害化処理を可能にし、他の飛灰との合併処理も可能になっている。このほかの注目企業としては、ドイツのエンジニアリング会社であるWKV社から粒状活性炭を使うダイオキシン吸着技術を導入したユニチカや、活性炭総合メーカーのクラレケミカルなどがある。
●住宅用除湿材など新たな用途開発も進む ダイオキシン対策以外にも、活性炭需要は増えている。前述のように水処理分野では、水道水質基準法改正が追い風となっている。この分野で活性炭メーカーが取り組んでいるのは供給能力のアップと活性炭再生拠点の設置。活性炭再生は、浄水場の高度処理で使われる粒状活性炭は長期間使用すると孔に吸着した物質がたまってしまうが、これを焼成などの再生技術でリサイクルする。三菱化学や東洋ファルゴン、荏原などのメーカーが、既に活性炭の回収・リサイクルに取り組んでいる。活性炭が土壌改良材として有効なのは、古くから知られるところ。86年には土壌改良材として登録されている。炭は植物の根に働きかけるVA根菌を増殖する働きがあり、なかでも活性炭は温度や酸度、�
��度などを自然に調節するため、よい作物が採れる。土壌改良材としては、主に粉状の活性炭が用いられる。さらに、新用途として注目されているのが、住宅用の資材としての使い方。これは住宅の床下などに活性炭を敷き込むことで、湿度を調整したり防虫効果を出したりするほか、近年問題となっているホルムアルデヒドなどの住宅資材などから発生する有害化学物質を中和する働きがあるという。有限会社エコテック(石川県松任市、076-274-3040)では、活性炭を随所に使用した住宅を「健康住宅」として販売している。同社では住宅だけでなく、臭いなどに悩まされる店舗の厨房などにも建築資材として活性炭の使用を推進しており、好評を博しているという。このように幅広い用途があり、需要増が見込まれる活性炭。活性炭
製造技術については、本誌38号の「ドライヤー特集」でも触れたが、東京都立産業技術研究所の古新開を活性化する技術や、公園の剪定枝や廃タイヤを活性炭化するリサイクル技術も生まれている。
装置の低公害化も進んでいる。産業廃棄物処理プラントメーカーのアクトリームラタ(石川県金沢市)は、97年5月に低公害の活性炭製造プラントを開発した。高周波加熱方式を採用し、バーナーによる燃焼加熱に比べCO2の発生を抑え、全体の排ガスを従来の10分の1に抑制することに成功した。国内外の活性炭メーカーを対象に営業活動を展開する。製造能力年間100、500、1000トンの3機種を商品化しており、1000トンタイプで周辺機器を含め2億5000万円の予定。ダイオキシン問題をきっかけに急速に注目を集める活性炭だが、ダイオキシン以外の用途でも確実に需要を伸ばしつつある。活性炭はこれからも古くて新しい素材として活用されていくだろう。
Tuesday, December 16, 2025
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