干潟造成技術 ECOFLAT工法 失われた沿岸の呼吸を取り戻す試み 2000年代前半から後半
日本の沿岸では一九六〇年代以降の急速な埋め立てや港湾整備によって干潟が失われ生態系の崩壊や水質悪化が深刻化した。環境基本法の制定や瀬戸内海環境保全特別措置法を背景に一九九〇年代後半から二〇〇〇年代にかけて国と自治体は干潟の再生を本格的に検討し干潟が水質浄化炭素固定底生生物の生息場として重要な機能を持つことが再評価された。
こうした流れの中で開発されたのが ECOFLAT工法である。この技術は単に土砂を盛るのではなく潮汐底質水深など干潟が持つ自然条件を精密に再現し生態系が自力で回復する環境を整える点に特徴がある。地形の高さをミリ単位で調整し底質を改良し潮流シミュレーションに基づいて干潟の安定性を確保することで造成後数年以内にカニ類ゴカイ類二枚貝が自然定着する事例が報告された。
二〇〇〇年代後半には ECOFLAT工法は港湾再整備や都市沿岸の環境改善に採用され失われた海域生態系を再生する有効な技術として評価された。人工的造成ではなく自然の回復力を引き出す思想は海岸環境政策の転換点となり今日の沿岸再生プロジェクトにも受け継がれている。
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