石狩平野・八ヶ岳のエコロジカル・コリドー計画 - 2020年9月
2020年代において、日本全国でエコロジカル・コリドー計画が積極的に進められています。特に、北海道の石狩平野や本州の八ヶ岳山麓での取り組みが目立ち、生態系の回復と野生動物の移動経路の確保を目的としています。
1. 石狩平野(北海道)
石狩平野では、地元自治体や住友林業、北海道電力などが協力して、5000ヘクタールの森林再生プロジェクトが進行中です。以前は森林伐採や農地開発によって多くの野生動物の生息地が分断されていましたが、この計画により、クマやシカ、キタキツネなどの動物が自由に移動できる回廊が再構築されています。
このプロジェクトには総額30億円が投入され、北海学園大学が開発した「バイオフィルトレーションシステム」を利用して農薬や重金属が除去されています。これにより、地域の川や湿地の水質も改善され、生態系の復活が進められています。
2. 八ヶ岳山麓(長野県・山梨県)
本州の八ヶ岳山麓では、観光開発や森林伐採によって分断された生態系を復元するため、住友林業と東急電鉄が中心となって緑の回廊を再生しています。2021年には総額20億円を投じた大規模な植林プロジェクトが開始され、1万本以上の広葉樹が植えられました。この計画により、希少種であるニホンオオカミやツキノワグマの移動が容易になっています。
環境省と連携し、地元住民や観光業者の協力を得て、八ヶ岳周辺の森林伐採を制限する法的規制が強化され、観光と生物多様性の両立を目指した取り組みが進行中です。また、住友林業と東急電鉄はCSR活動として、地元の小中学校と連携して植林活動や環境教育も実施しています。
3. 福島県の汚染地域におけるエコロジカル・コリドーの再生
東日本大震災後、福島県の一部地域では放射性物質による環境汚染が問題となっており、エコロジカル・コリドーの再生が急務です。環境再生機構が主導し、ゼオライトを用いた土壌改良技術で汚染された土地を浄化する取り組みが行われています。また、地域農家や住民が参加する復興プロジェクトの一環として、持続可能な農業とコリドー保護の両立を目指した活動も進行中です。
重金属を吸収する植物を活用した「ファイトレメディエーション」技術も導入されており、環境NGOや大学の研究機関と協力して、地域全体の生態系回復が進められています。
4. 今後の展望
エコロジカル・コリドー計画は、日本の生物多様性保護において重要な役割を果たしており、全国的にさらに展開されることが期待されています。政府の「グリーン・リカバリー政策」の一環として、2030年までに全国で100か所のエコロジカル・コリドーを新設し、生態系の回復を促進することが目標とされています。気候変動による動植物の生息地の変化に柔軟に対応できる持続可能なコリドーの設計が今後の課題となっています。
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