見えざる揮発 - 塩化メチルとオゾン層の影響
塩化メチル(クロロメタン)は、オゾン層破壊に関与する揮発性有機化合物(VOC)の一種であり、かつて工業用途や農業用燻蒸剤として広く使用されていた。長らくフロン類やCFC規制が注目される中、その環境影響は見過ごされてきた。しかし、2000年の国立環境研究所の調査で、塩化メチルは熱帯林や海岸線から自然発生することが判明し、これまでの人工排出源だけでなく、自然由来の影響も考慮すべきであることが明らかになった。
同年、気象庁は南極上空のオゾン破壊量が9622万トンに達し、オゾンホールの過去最大規模を記録したと発表。フロン規制後もオゾン層の回復が進まない要因として、塩化メチルの影響が指摘され始めた。2020年代には、日本国内の塩化メチル排出量が年間232トンと報告され、特に工業排出と自然発生の関係が注視されている。今後、排出抑制とともに、気候変動による自然発生の変動を監視し、総合的な対策を進める必要がある。
No comments:
Post a Comment