Thursday, February 27, 2025

廃瓶(ペットボトル)転生記 - 資源循環と環境課題の現在地(2024年)

廃瓶(ペットボトル)転生記 - 資源循環と環境課題の現在地(2024年)

日本のペットボトルリサイクル率は2022年度で869%に達し、世界的に見ても高水準を維持している。リサイクルの推進により、2004年度と比較して2022年度にはペットボトルの軽量化率が276%となり、当初の目標を上回る成果を上げている。特に、使用済みペットボトルを新たなペットボトルに再生する「ボトルtoボトル」リサイクルが進められ、2022年度には再生PET樹脂の使用量が169千トンに達し、全体の290%を占めるまでになった。これにより、原料の循環利用が促進され、石油由来プラスチックの削減にも貢献している。

しかし、日本国内でのリサイクル率が高い一方で、ペットボトルを含むプラスチックごみが海洋環境に与える影響は依然として大きい。環境省の調査によると、漂着ごみのうちプラスチック類が個数ベースで658%を占め、その中には飲料用ボトルも含まれている。さらに、日本から海洋へ流出するプラスチックごみは年間約26万トンと推定され、海洋生態系や漁業への悪影響が懸念されている。北太平洋の「ごみベルト」では、魚や海鳥の90%がプラスチックを摂取しており、その影響で漁業の生産性が20%低下するなど、経済的な損失も発生している。

こうした状況を受けて、日本政府は「プラスチック資源循環戦略」を策定し、2030年までにプラスチック使用量を25%削減する目標を掲げている。ペットボトルのリサイクルを推進する企業も増えており、例えばサントリーは2025年までに100%サステナブルなペットボトルの実現を目指している。また、帝人ファイバーと住友商事は「ボトルtoボトル」技術を確立し、自動回収機の導入によって異物除去と色分別を効率化し、リサイクル率をさらに向上させている。広島市では2004年に三菱重工業の江波工場内にPETボトルリサイクル施設が設置され、中国電力やエヌケー環境と連携して資源循環の促進を進めている。

関連情報として、日本のペットボトルリサイクルの詳細は「ペットボトルリサイクル推進協議会」の年次報告書で確認できる。環境省の海洋プラスチック調査も公表されており、日本からのプラスチック流出量に関するデータは「日本財団」の報告書に記載されている。また、企業のリサイクル活動に関しては、コカ・コーラ ボトラーズジャパンの公式サイトで詳細が紹介されている。

No comments:

Post a Comment