エコセメントを活用した建材開発 - 1999年6月
太平洋セメントは、都市ごみ焼却灰や下水汚泥を主原料とする「エコセメント」の開発を進めている。エコセメントは、廃棄物を資源として活用することで、天然資源の使用を抑制し、CO₂排出量の削減に寄与する環境配慮型のセメントである。焼却灰1トン(含水率30%の場合)から約1トンのエコセメントを製造でき、廃棄物の大幅な減量に貢献する。
エコセメントは、普通ポルトランドセメントとほぼ同等の品質を持ち、コンクリート製品や鉄筋コンクリート構造物など幅広い用途で使用可能である。また、製造過程で焼却灰に含まれるダイオキシン類は、1350℃以上の高温で完全に分解され、重金属類も回収・リサイクルされるため、安全性が確保されている。
この技術は、1994年に通商産業省(現・経済産業省)のプロジェクトとして採用され、4年間の実証研究を経て1997年に確立された。2002年7月には、日本工業規格(JIS R 5214)に制定され、現在では公共施設や住宅建材としての活用が進められている。エコセメントの普及により、最終処分場への埋め立て量が削減され、循環型社会の構築に大きく貢献している。今後も、自治体や民間企業との連携を強化し、さらなる実用化と普及が期待される。
**関連情報:**
- **太平洋セメント公式サイト**:「エコセメントの製造と環境貢献」
- **太平洋セメント公式サイト**:「エコセメントの用途と安全性」
- **J-STAGE論文**:「エコセメントの実証研究とJIS規格制定の経緯」
- **太平洋セメント公式サイト**:「廃棄物の資源化と循環型社会への取り組み」
No comments:
Post a Comment