Thursday, February 27, 2025

膳余の軌跡――廃棄と再生の物語(1990年代~2020年代)

膳余の軌跡――廃棄と再生の物語(1990年代~2020年代)

日本における食品廃棄物の処理とリサイクルの歴史は、時代とともに大きく変遷してきました。

1990年代、日本では年間約2500万トンの食品廃棄物が発生し、その多くは焼却や埋め立てによって処理されていました。当時、リサイクル技術は発展途上であり、食品廃棄物の削減に向けた具体的な政策は限られていました。しかし、2001年に「食品リサイクル法」が施行されると、大手スーパーマーケットや食品メーカーはリサイクルの取り組みを強化し、食品廃棄物の削減に向けた動きが本格化しました。

2002年当時、東京では年間約1900万トンの食品廃棄物が発生していましたが、リサイクル率は低く、焼却や埋め立てが主な処理方法でした。しかし、2010年代に入ると、バイオガス発電やAIを活用した管理技術が発展し、食品ロス量は2017年度には約612万トンにまで減少しました。食品廃棄物の処理においても、新たな技術開発が進み、より効率的な再利用が可能になってきました。

2020年代に入ると、日本の食品廃棄物の総量は約2372万トンのままでしたが、食品ロス量は約522万トンにまで減少しました。令和4年度(2022年度)には、日本の食品ロス発生量は約472万トンと推計され、前年度(523万トン)から大幅に減少しました。特に、事業系食品ロスは約279万トンから約236万トンへと減少しており、食品関連事業者や家庭での取り組みが一定の成果を上げていることが明らかになっています。

東京都では、食品廃棄物のリサイクルと循環型経済の実現を目指し、2024年5月30日には「小売ロス削減総合対策」など3つの補助事業を開始しました。この対策では、中小小売事業者が行う食品ロス対策に対し、最大1500万円の補助金が提供されます。具体的には、需要予測システムの導入や量り売り用機器の設置、急速冷凍機の導入などが支援対象とされ、食品廃棄物の発生抑制とリサイクル率向上が目指されています。

また、東京都大田区では、食品廃棄物の飼料化を通じて廃棄物処理コストの削減に成功した事例があります。食品廃棄物を適切に分別し、可燃ごみの回収頻度を減らすことで、廃棄物処理のコスト削減と環境負荷の低減を実現しました。この取り組みは、地域の資源循環モデルとして注目されています。

食品廃棄物のリサイクルは年々進化しており、特に都市部ではリサイクル技術の発展が顕著です。しかし、依然として高額な処理コストやリサイクル燃料の活用拡大といった課題が残っており、今後も持続可能な廃棄物管理の実現に向けたさらなる取り組みが求められています。

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