循環する資源、再生の可能性 ― 日本のPETボトルリサイクル技術の進展 - 1999年6月
1990年代後半、プラスチック廃棄物の増加が深刻な問題となる中、日本におけるPETボトルのリサイクル技術が大きく進展した。特に、1993年には日本で最初の大型PETボトル再商品化施設が建設され、PETボトルリサイクル推進協議会が設立された。さらに、1997年の「容器包装リサイクル法」の施行以降、PETボトルのリサイクルは本格化し、リサイクル率は85%以上に達するまで向上した。
PETボトルリサイクル技術の進化により、再生繊維の品質が向上し、衣料やカーペット、自動車の内装材としての用途が拡大している。特に、寺岡製作所が開発したPETボトル由来の再生繊維を使用した布テープは、環境負荷低減の成功例として注目されている。この布テープは、表面にポリエチレン、第2層に42%のPET再生繊維を使用し、粘着剤には再生ゴムを採用することで、従来品と同等の粘着性と強度を保持しながら、リサイクル率を向上させた。
さらに、化学リサイクル技術の導入により、PET樹脂を原料のモノマーまで分解し、新たなPET製品に再利用する手法が確立された。これにより、従来の機械的リサイクルでは困難だった食品容器向けの高純度PETの製造が可能となり、資源循環の効率が向上した。JEPLAN（日本環境設計）などの企業は、廃PETボトルを化学分解し、新たなPETボトルへ再生する「ボトルtoボトル」リサイクルを推進している。
また、東レや帝人といった繊維メーカーも、PETボトルを原料とした高品質なリサイクル繊維の開発を進め、スポーツウェアや自動車シートなどの分野での活用が拡大している。花王やライオンは、再生PETを活用した洗剤容器の開発を進め、プラスチック資源の循環を促進している。
今後、より効率的なリサイクル技術の開発や、再生PETの活用拡大が求められており、持続可能な社会の実現に向けた取り組みが加速していくと予想される。
### 関連情報:
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