Thursday, March 20, 2025

深夜の電波が描いたラジオの未来——1970年代後半の変革

深夜の電波が描いたラジオの未来——1970年代後半の変革

1970年代後半、日本のラジオ業界は大きな変革期を迎えていた。若者の関心はテレビからFMラジオへと移り、音質の良さや音楽番組の充実によりFMの人気が急上昇した。その一方で、中波(AM)ラジオは番組のマンネリ化が指摘され、特に若者層の支持を失いつつあった。文化放送はこの危機を打開すべく、「音とイメージ」を重視した新たなラジオ番組を企画し、1977年10月から半年間の特別番組を放送するなど、AMラジオの再生に挑戦した。

この時代、多くの有名パーソナリティが活躍した。永六輔は社会派トークで根強い人気を誇り、大橋巨泉は辛口の社会批評に加え、FM風の音楽番組も手がけた。糸居五郎は「DJの神様」と称され、洋楽紹介の草分け的存在となり、高嶋ひでたけ、小島一慶、吉田照美らも深夜ラジオを牽引した。特に「オールナイトニッポン」などの深夜放送は若者の圧倒的な支持を集め、AMラジオにとって重要な要素となった。

FMの台頭によりAMとの競争は激化したが、AMラジオはトーク番組や深夜放送の強化によって生き残りを図った。結果的にFMの勢いを止めることはできなかったものの、当時のラジオパーソナリティたちが築いた文化は、日本のメディア史に長く影響を与え続けた。

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