大地に還る循環の知恵 - 甲府市の下水汚泥コンポスト事業 - 2001年4月
甲府市下水道公社では、年間約1万7000トンの下水汚泥が発生しており、そのうち約4890トンをコンポストとして再利用している。このコンポスト化事業では、おがくずや未熟堆肥を混合し、発酵させることで有機肥料を生産。発酵は二段階に分かれており、まず一次発酵で約2週間、その後60日間の熟成期間を経て最終製品が完成する。
年間の生産量は約2500トンに及び、そのうち8割以上が農地向けに販売されている。販売は主に経済連を通じて行われ、農業利用の促進が図られている。汚泥を資源化することで最終処分場の負担を軽減し、環境負荷を低減する狙いがある。近年、最終処分場の逼迫に伴い、処理費用も上昇しており(1万円/トン→1万5000〜2万円/トン)、このようなリサイクル技術の活用がより重要視されている。
甲府市のコンポストは、特に地元農業者に支持されており、堆肥としての品質向上を目指して成分調整や供給体制の改善が進められている。また、肥料取締法の改正により、従来「特殊肥料」とされていた汚泥堆肥が「普通肥料」として認定されるようになり、市場での受け入れが進んでいる。
### 関連情報
1. **環境省『平成22年版 環境白書』第3章 循環型社会の形成**
- 下水汚泥の発生量や再生利用の状況、具体的な再生利用の方法(セメント原料、緑農地利用、エネルギー利用など)について詳述されている。
2. **公共投資ジャーナル社:コラム「取材ノートから」**
- 下水汚泥コンポストの肥料取締法上の位置づけや、肥料としての品質、利用促進の可能性について言及。
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