「帯広マテックの挑戦――廃ガラス、再び命を得る」- 2001年6月
北海道帯広市のマテックは、廃車の解体処理で発生する廃ガラスのリサイクルに取り組んでいる。従来、廃車から回収されるガラスは再利用が難しく、多くが埋立処分されていた。しかし、同社はこの課題を解決するため、廃ガラスを粉砕し、グラスウールの原料として活用する技術を導入した。これは、北海道内の廃車リサイクルにおける画期的な事例である。
マテックの技術は、ガラスを細かく粉砕し、他の素材と分離することで、グラスウールの製造過程に適した原料に加工するものである。これにより、これまで埋立処分されていた廃ガラスを有効活用できるようになった。月に約500台の廃車を解体する同社では、約15トンの廃ガラスが発生しており、これを資源として再利用することで、環境負荷の低減とコスト削減を同時に実現している。
特に注目すべきは、廃ガラスを単なる廃棄物ではなく、新たな製品の原料として活用する点である。一般的に、自動車の窓ガラスは強化ガラスや合わせガラスが多く、リサイクルしにくいとされていた。しかし、同社の技術では、粉砕することで異物を効率的に分離し、グラスウールの製造に適した形に加工できる。この技術により、道内のグラスウール市場の約25%を占める企業への供給が可能になり、将来的には月に100トン規模の供給体制を構築する計画も進められている。
マテックの取り組みは、北海道における自動車リサイクルの可能性を広げるだけでなく、廃棄物の有効活用の新たなモデルケースとなりつつある。従来の埋立処分からの脱却を目指し、リサイクル技術の発展とともに、資源循環型社会の実現に貢献する先駆的な事例として注目されている。
【関連情報】
- 「日本自動車リサイクル協会 報告書(2000年版)」
廃車処理におけるガラスリサイクルの課題と対策、全国の実例を紹介。
- 「グラスウール再利用技術報告(2001年)」
グラスウール製造工程でのリサイクル材の適用可能性と品質管理について詳述。
- 「北海道における産業廃棄物の資源化動向(2000年)」
廃棄物リサイクルの地域別動向と、帯広市における具体的な取り組みを分析。
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