森が消え水が枯れる日 - 2003年2月
地球規模で水不足が深刻化している。その要因として人口増加水消費量の増加地球温暖化そして森林面積の減少が挙げられる。特に途上国ではプランテーション開発のための森林伐採が進み水源涵養能力が低下している。毎年904万ヘクタールの森林が失われ結果として保水力の低下や表土の流出生物種の減少が進行している。
農業の拡大も水資源の逼迫を加速させている。輸出作物の大規模農業や多国籍企業による商品作物の大量生産は本来必要とされる食糧生産のための土地や水を奪いさらに加工段階でも水資源を消費する。こうした状況は特にアフリカや中東などの地域において顕著であり現在約5億人が安全な飲料水を確保できていない状況にある。国連環境計画の予測によれば2025年には世界人口の半数近くが水不足の危機に直面する可能性が高い。
森林破壊による影響は水資源だけにとどまらない。日本国内では棚田の減少や水田の荒廃が進んでおりこれが保水能力の低下や水害の増加につながっている。過去50年の農業政策は水田の荒廃を招き結果として食糧自給率の低下とともに間接的な水の輸入依存を強めてきた。こうした状況を改善するため森林環境税の導入や水田の復元持続可能な農業政策への転換が求められている。
生態系の破壊はさらに深刻な問題を引き起こしている。外来種の作物栽培が生態系を乱し特定の植物の過剰繁殖や土壌の栄養バランスの変化を招いている。特に化学肥料や農薬の使用が進む地域では土壌の汚染が進行し生態系全体に悪影響を及ぼしている。これに対応するため一部の地域では農薬や化学肥料の使用を禁止し自然の生態系を活かした農業へと移行する試みが始まっている。
水不足森林破壊生態系の破壊という問題は個別に取り組むべき課題ではなく相互に関連し合っている。持続可能な社会の実現のためには森林保護水資源管理生態系の維持を一体的に考え政策を進めることが求められる。
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関連情報
- 高知県公式ウェブサイト: 高知県の森林環境税の仕組みや活用事例について説明。
- 環境省の森林保全資料: 日本国内の森林破壊と水資源への影響についての詳細なレポートを掲載。
- 国連環境計画(UNEP)公式レポート: 地球規模での水不足と森林破壊に関する予測データと対策。
- 林業経済研究所の論文: 日本における森林環境政策の現状と課題についての詳細な分析。
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