森を守る一律500円の決意 - 高知県森林環境税-2003年2月
高知県は、水資源と森林保護を目的として「森林環境税」の導入を予定している。県の面積の84%が山林であるが、林業の衰退により間伐が行われず、下草が生育せず保水能力が低下。これが表土の流出や河川環境の悪化につながっている。こうした状況を改善するため、県民税に一律500円を上乗せし、森の環境保全のための基金を設立する計画だ。
この税制の目的は、単なる森林保護だけでなく、水資源の確保、環境保全、さらには林業振興にもある。林業関係者、自治体、市民との協議を経て決定され、集められた資金は森林整備や間伐の促進に活用される予定。また、同様の税制は神奈川県や岡山県でも検討が進められており、森林保全のための財源確保が全国的な課題となっている。
さらに、高知県の森林環境税は、日本全国で初めて導入されたものであり、その後、環境省の「森林環境譲与税」の制度設計のモデルにもなった。この税収は、間伐の推進、森林の持続的利用、災害防止、CO2吸収の促進など多岐にわたる取り組みに活用されている。
また、森林環境税の導入にあたり、高知県は市町村と連携し、税の使途を明確にすることで住民の理解を得る努力を重ねてきた。特に、森林の再生による水源涵養機能の向上や、河川環境の保全が重点的に進められ、結果として地域の防災・減災にも寄与している。これにより、住民の環境意識の向上や、森林管理に関わる新たな雇用創出などの副次的な効果も生まれている。
この森林環境税の導入により、地域の森林管理が強化されることで、持続可能な水資源の確保や、土砂災害の防止効果も期待されている。今後、自治体ごとに異なる森林環境保全策がどのように進められるのかが注目される。
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関連情報
1. 高知県公式ウェブサイト
高知県の森林環境税の仕組みや活用事例について説明。
2. 高知市公式ウェブサイト
高知市における森林環境税の詳細や税制改正に関する情報。
3. 南国市役所ウェブサイト
南国市における森林環境税の概要と課税開始情報。
4. 林業経済研究所の論文
高知県の森林環境税の展開過程に関する分析論文。
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