■ 煙る夜、拳は語る ― 昭和三〇年代後半・伊勢佐木町裏路地にて
横浜愚連隊四天王・カミソリ「なぁシブイ、また東京モンが出張ってくるらしいぜ。関内に"顔出し"だとよ。」
横浜愚連隊四天王・シブイ「フン、またかよ。根っこもねぇ流れ者が、筋も通さずにウチの地回り踏むってか。ナメくさってんな。」
カミソリ「それがよ、十人編成らしいんだ。ケツ持ちもいねぇ、お子様ランチの隊列よ。」
シブイ「そんで、お前はまた"仁義見せてくる"ってんだろ? すぐ手ぇ出すなって何度言わせんだ、カミソリ。」
カミソリ「おいおいシブイ、お前まで口火切る気か? こちとら黙って見てたら看板が錆びるって話だ。」
シブイ「俺はな、血の雨が好きなわけじゃねぇんだよ。タタけばいいってもんじゃねぇ。頭使え、なぁ?」
カミソリ「なに言ってやがる、お前こそ最近、冷めすぎてんじゃねぇか? 言葉で片付くなら最初から愚連隊なんざやっちゃいねぇ!」
シブイ「はぁ? ならその口、今ここで閉じさせてやろうか、カミソリ。」
カミソリ「いいぜ……久々にお前の間合い、味見してやるよ。」
(※イスを蹴って立ち上がる音 周囲が緊張)
シブイ「来いよ。拳で話すのが早ぇなら、俺も乗ってやる。」
(※数秒の沈黙。拳が交わり 一瞬の火花)
(※数分後、ゼェゼェ言いながら、互いに座り直す)
カミソリ「……チッ、やっぱお前、反応鈍ってねぇな。」
シブイ「お前こそ、相変わらず真っ直ぐしか飛ばしてこねぇな……でもまぁ、それがカミソリか。」
カミソリ「へへ、ったく……やっぱ喧嘩して分かることもあるな。」
シブイ「で、東京モンの件はどうすんだ?」
カミソリ「決まってんだろ。"俺らの街"に入るなら、まず礼儀からって教えてやんのさ。」
シブイ「……なら俺は、その"礼儀"が度を超えねぇよう、火消しのバケツ持って待ってるよ。」
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