Monday, July 28, 2025

都会の夢と哀愁──浅丘ルリ子の銀幕に咲いた花(1955〜1975)

都会の夢と哀愁──浅丘ルリ子の銀幕に咲いた花(1955〜1975)

浅丘ルリ子は、1950年代から70年代にかけて日本映画界の中心にいた女優である。戦後の復興とともに、映画は庶民にとって最大の娯楽となり、その銀幕に浅丘は突如現れた。1955年、日活初のカラー映画『緑はるかに』でデビュー。14歳とは思えぬ大人びた表情と華やかさで観客を魅了した。

日活アクションの黄金期には、小林旭との共演作が続き、『銀座の恋の物語』では都会的な恋を演じて印象を残す。石原裕次郎との『憎いあンちくしょう』では、反抗と情熱が交錯する青春の一幕を体現した。また『洲崎パラダイス 赤信号』では、赤線地帯の女の哀しみをリアルに演じ、実力派としての地位を確立した。

1970年代には『男はつらいよ』シリーズにリリー役で登場し、寅さんの心を揺さぶる存在となった。同時代の吉永小百合が清純派として親しまれたのに対し、浅丘はどこか影のある都会的女性として異なる輝きを放った。彼女の存在は、変化する日本の都市と女性像の象徴であった。

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