Monday, July 28, 2025

緑を育む循環の拠点 ― 大阪府和泉市の地域リサイクル基地(1997年以降)

緑を育む循環の拠点 ― 大阪府和泉市の地域リサイクル基地(1997年以降)

1990年代後半の日本は、バブル経済崩壊後の低成長時代に突入していた一方で、「循環型社会」への移行が政策として打ち出され始めた時期でもあった。1997年には「環境影響評価法(環境アセスメント法)」が制定され、翌年の1998年には「資源有効利用促進法」が改正されるなど、廃棄物の減量や再資源化が本格的に制度として整備されていった。地方自治体においても、都市ごみの減量やリサイクルの推進が急務とされ、民間企業と連携した先進的な取り組みが次々に生まれ始めた。

大阪府和泉市に拠点を置く南大阪造園の取り組みは、まさにその時代の先駆けであった。同社は造園業に伴って大量に発生する剪定枝を、廃棄物ではなく「資源」として再定義し、堆肥化して「リサイクルたい肥いずみ」という製品として地域流通に乗せた。その堆肥は、単なる園芸用にとどまらず、地域の畜産農家から供給される牛ふんとブレンドされることで、土壌改良材としての品質が高められている。このような畜産農家との連携もまた、地域資源を循環させる仕組みづくりとして注目された。

さらに同社は、都市部における緑化需要の高まりを捉え、屋上緑化用の軽量土壌の開発にも着手していた。これはヒートアイランド現象の緩和策として、建築・環境分野の交差点に立つ重要な取り組みであった。当時、屋上緑化は大都市での環境配慮の象徴的手段とされ、補助金制度なども導入され始めていたため、同社の事業はタイミング的にも時流に乗った形だった。

地域資源の循環利用、官民協働による環境保全、そして産業横断的な技術開発──南大阪造園のリサイクル基地は、これら三つの理念を体現したモデルケースであり、1997年以降の日本における「地産地消型環境事業」の萌芽を感じさせるものであった。

No comments:

Post a Comment