Monday, July 28, 2025

緑の循環を都市に ― 京都・花豊造園の剪定枝リサイクル事業(2002年10月)

緑の循環を都市に ― 京都・花豊造園の剪定枝リサイクル事業(2002年10月)

2000年代初頭、日本は「循環型社会形成推進基本法」(2000年施行)を土台に、環境と共生する経済社会への移行を加速させていた。とりわけ都市部では、剪定枝や伐採材といった木質系廃棄物の再資源化が注目を集め、焼却からリサイクルへの転換が本格化していた。その文脈で、京都市の花豊造園が2002年10月に設置した剪定枝リサイクル施設は、小規模ながら先進的な取り組みとして評価される。

この施設では年間約300トンの剪定枝を受け入れ、そのうち210トンを地元の果樹農家にチップとして提供。残る90トンは同社の造園業務で堆肥やマルチング材として再利用されている。廃棄物を出さないだけでなく、地域の農業や緑化活動と循環的に結びついた仕組みは、単なるリサイクルを超えた地域経済モデルとも言える。

背景には、ダイオキシン規制の強化や廃棄物処理法の見直しにより、従来の野焼きや焼却が困難になったという事情もある。地方自治体や民間業者が新たな処理方法を模索する中、花豊造園のような中小事業者による自立的な施設運営は、コスト削減と環境負荷低減の両立を示す実例となった。

さらに、2003年にはISO14001を取得し、環境マネジメント体制を整備。剪定枝という「都市の森の副産物」を資源へと変えるこの事業は、地域と調和した環境対策として、全国の造園・緑化業者にも波及的な影響を与えていくこととなった。

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