Sunday, July 27, 2025

巨大な闇を掘り返す ― 青森・岩手の産廃不法投棄問題と国家支援の背景(2004年2月)

巨大な闇を掘り返す ― 青森・岩手の産廃不法投棄問題と国家支援の背景(2004年2月)

2000年代初頭、日本ではバブル崩壊後の景気停滞とともに、地方の環境問題が深刻化していた。とりわけ青森県と岩手県の県境で発覚した不法投棄事件は、87万6000立方メートルという国内最大級の産業廃棄物による汚染として人々の記憶に刻まれた。この膨大な廃棄物の処理には、青森県で414億円、岩手県で221億円もの費用が試算され、地方財政では到底まかなえないと判断された。

こうした背景のもと、2004年1月末に環境省は特例的措置として、国が287億円を直接補助し、地方交付税措置も含めて総額の6割を国が支援する方針を発表。これは国の環境行政の転換点でもあった。1999年の廃棄物処理法改正、2000年の循環型社会形成推進基本法の流れを受け、排出者責任と監視強化を徹底し始めた時期である。

この事件を契機に、違法業者への規制強化や産廃情報の公開、処理ルートの透明化などが推進され、地域住民と国・地方の協働による環境修復のモデルとなった。一方で、環境犯罪の発覚が遅れた制度的欠陥や、違法投棄の摘発困難さも改めて浮き彫りになり、抜本的な対策の必要性が問われる契機となった。

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