Monday, August 25, 2025

環境 「廃棄物ではない」の虚構―リサイクル偽装をめぐる攻防 2002年

環境 「廃棄物ではない」の虚構―リサイクル偽装をめぐる攻防 2002年

2002年、日本の廃棄物行政を揺るがせた大きな課題が「廃棄物ではない」との偽装問題でした。本来処理すべき汚泥や廃プラスチックを「リサイクル原料」と称し、不適正処理や野積みを行う業者が全国で横行しました。こうした行為は処理費用削減を狙った典型的な環境犯罪であり、不法投棄や汚染につながり社会的批判を浴びました。

背景には、バブル崩壊後のコスト圧力と2000年施行の循環型社会形成推進基本法による制度拡大の矛盾がありました。資源と廃棄物の線引きが曖昧であったため、中央環境審議会は「リサイクル可能でも不要物は廃棄物とする」と定義拡大を提案しました。これは悪質業者の抜け道を塞ぐ狙いでした。

一方、経済産業省や産業界は「有価物まで規制すれば市場流通が停滞する」と反発し、資源回収への悪影響を懸念しました。この攻防の背景には1999年の青森・岩手県境不法投棄事件など大規模事件があり、行政は規制強化を迫られていました。

結果的に、廃棄物定義の拡大は後の法改正につながり、偽装防止と市場維持の均衡を模索する転換点となりました。

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