2018年12月3日月曜日

環境ビジネス参入事例…。

<拡大する環境ビジネス市場の成長要因> 

国内の環境ビジネス市場は現在参入企業数は1万社に及び、事業アイテムは約900と全産業に裾野を広げている。まさに全員参加型の様相を呈しているのだ。それが市場の成長要因のひとつになっている。

市場参入にあたっての四つの参入形態

 第一が、「生産ラインのグリーン化」である。すなわち生産ラインを省エネ化したり、生産ラインから極力廃棄物を排出させない、またリサイクル化を図る、汚水を外部に出さないとともに水質汚濁を防止するなどである。この取り組みにおいて各企業では多く環境エンジニアリング部を設け、ゼロエミッション、省エネ、有害物質排出制御を行っており、そこを分社化する大手企業も珍しくはない。そしてここで創出したグリーン化技術やノウハウ・経験を他社に向けて外販するビジネスはいま始まったことではない。

 第二が、「既存製品のグリーン化」だ。現在世界で取引きされる製品は、急速にグリーン化が進められている。低公害自動車や省エネ家電製品はあたりまえ、という昨今である。すなわち従来製品の省エネ・省資源化、リサイクル素材の採用、有害物質の使用抑制など環境に配慮した製品づくりだ。これにより、環境に対する負荷はより低減できる。

 第三が、「コア技術(事業)の環境技術(事業)」への応用」だ。これは、中小事業者によくみられるケースで、自社に蓄積されたコアすなわち要素技術を環境技術へ応用していくスタンスである。その結果、例えばリサイクル装置を作る、といったことだ。半導体の主役であったSi(シリコン)で太陽電池を作ったケースは、典型例として挙げられる。

 そして第四が「M&A(Mergers and Acquisitions)、特許買収」だ。これはある企業が、環境技術が得意な別企業を買収するようなケースで、買収に伴い、関連特許の買収もビジネス参入上、強力な武器になってくる。最近では、省エネ家電等のメーカーであるパナソニックが三洋電機を買収した典型例があげられる。三洋電機はリチウムイオン電池など二次電池のメーカーとして知られる。例えば自然まかせで、電力の質が不安定な再生可能エネルギーを蓄電池に貯めて利活用することなどを考えると、大きな需要が期待され有意義なM&Aといえそうだ。

環境ビジネス創出に向けてのさまざまな追い風

 環境ビジネス展開上においては、前述したように、関連技術及び製品が豊富かつ多彩で高嶺市況にあり、追い風状態といえる。一方、かつてB to G(公共事業)主流の頃と比べてキーとなる価格など関連情報が広く公開されるようになり、参入をめざす企業には条件がよくなってきた。加えて世界の経済市場のグリーン化ともリンクしてきている。
 国の環境政策もグリーン化に向けて邁進し続けている。21世紀は、環境条約の時代に入ってくるかもしれない。というのも、PM2.5の問題一つをとっても、とても一つの国だけで解決しうる問題ではない。悪化の一途をたどる地球環境は、例えば近隣数カ国が条約を締結して、問題解決に向けて対処していかなければとても解決しうる問題ではないのだ。国際間レベルで地球環境の悪化に対処するには、日本の50年にわたって培われてきた世界に誇る環境技術が強力な武器であり、そしてビジネスチャンスも潜んでいる。

 法的規制も見逃せない。これは、例えば食品廃棄物に関しリサイクル法制化された場合、これまで焼却していた食品廃棄物に対する対策が必要となる。そのためにはリサイクル装置が必要になり、そこに環境ビジネスが育つ芽が出てくる。一つの環境に関する法的規制がかかると、そこには確実に環境ビジネスが育ってくるのである。また、環境ビジネス立上げ時には、逆にこれに伴う規制が現存する。たとえば環境ビジネス参入に際して、ビルをリニューアルしたい場合、電気事業法や建築法が絡んできてこのハードルは意外に高い。そこでハードルを下げて参入しやすくする環境ビジネスはの規制緩和は加速するであろう。

 また、企業や自治体、大学など各事業の環境マネジメントシステム、例えばISO14001やエコアクション21などの認証取得による継続的な環境へのダメージ改善を行うためには、さまざまな環境技術ソリューションが必要とされ、やはりビジネスチャンスが生まれやすくなろう。前述、B to B二つのパターンがここに相当する。

 さらに、環境配慮型製品を優先的に購入していくという、グリーン購入がある。例えば某文具メーカーの製品はすでにその大半がグリーン製品を生産しているほどで、やはりここにも環境ビジネス創出の芽は育っていくにちがいない。

 そして、環境配慮型商品への志向が高いグリーンコンシューマーの拡大が及ぼす影響も大きい。商品の購入や利用、廃棄にいたる生活全般に亘る商品の市場における台頭など、環境ビジネス創出の大きな要因となっている。

 このように、環境ビジネス創出のチャンスは追い風的に存在するが、ビジネスエリアはわが国の中だけにとどまらず絶えず世界に向けてビジネスチャンスの目利きを研ぎ澄ませておくことが肝要であろう。そうでないと、視野狭き“ガラパゴス”への懸念が伴うからだ。わが国は、これほど豊富で多彩な環境技術ソリューションを保有しているので、世界への積極的な働きかけを行っても不思議ではない。わが国のこうした技術の海外における認知度はまだまだの部分が多いという。その点を充足させることがわが国の国益にもつながってくるし、世界からの信頼感を得ることにもなってくるはずだ。

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