2018年11月8日木曜日

静脈産業 1998.10

循環型社会での物流には2つの流れが形成される。ひとつは製造者から消費者をつなぐ動脈物流と、もうひとつは消費者から出される廃棄物を再資源化と再利用のため、もと来た道を逆流する静脈物流がある。 この2つの物流が形成されて、 循環の輪が可能になる。 循環型社会へ向けて、 リサイクル技術そのものよりも、 回収及び物流面を危惧する声は大きい。 静脈物流の形成は急務である。 ところで、 この静脈物流は巨大市場になることが予想されている。 環境庁では日本国内の廃棄物管理ビジネスが2010年には12兆8200億円市場になる と予測。また、 通産省が94年にま とめた産業環境ビジョンによれぱ現在15兆円あま りの環境ビジネス市場が2010年には35兆円を超ぇるとしており、そのうちリサィクル事業、 廃棄物処理事業など静脈産業関連が約24兆円とみている。 サイクル費用に占める回収運搬費用が現在約3割程度という ことから考えれぱ、 静脈物流市場は約8兆円近くという計算もできる。さらに日本のトラック運送事業は現在12~13兆円だが、 そのほとんどが製品供給のための動脈物流だ。 循環型社会ヘ向けてさまざまな分野で静脈物流の整備が義務づけられるならぱ、 動脈物流と同等の静脈物流市場が発生するのはほほ確実である。